雄大な徳島の自然に触れる秘境スポット2選

四国・九州・沖縄
四国地方の玄関口にあたる徳島県といえば、近世からの歴史をもつ「阿波おどり」で有名ですが、ほかにもさまざまな見どころの数々があることを忘れてはなりません。とりわけ悠久の自然の営みを体験できる、スケールの大きな秘境スポットがいくつも残されているところには注目すべきでしょう。本州四国連絡橋の開通により、全国各地からの旅行にもますます便利になった徳島を、一度は訪れてみても損はないはずです。

日本三大秘境のひとつに数えられる祖谷渓

合掌造り集落で知られる岐阜県の白川郷、狩猟伝承が民俗学的にも注目される宮崎県の椎葉村とあわせて、「日本三大秘境」のひとつに数えられるのが徳島県の祖谷渓です。吉野川の支流の祖谷川の流れに沿って、全長10キロメートルともいわれる断崖絶壁が連なっています。平家の隠れ里という伝説もあるとおり、断崖絶壁に張り付くようにして営まれている集落の風景は壮観の一語に尽きます。その集落と外界とを結ぶ唯一の交通路だった「祖谷のかずら橋」は、文字通り植物のかずらを編んで太いロープ状にした吊橋で、ちょっとしたスリルを体感できます。付近には専用のケーブルカーで谷底まで下って露天風呂が楽しめる「祖谷温泉」や、名物の「祖谷そば」をふるまうお店などもあります。特に秋の紅葉シーズンには、澄んだ渓流の水とあいまって、周囲の山々が美しい姿を見せてくれます。

迫力ある風景が見ものの阿波の土柱

徳島県阿波市にある「阿波の土柱」は、アメリカのロッキー山脈、イタリアの南チロル地方とあわせて「世界三大土柱」と呼ばれています。ここは吉野川を上流にさかのぼった内陸にあたりますが、約130万年前には実は吉野川の川底に位置していました。当時つくられた砂礫層が自然の力によって長い年月の間に侵食され、迫力ある土の柱となって残ったものです。土柱のなかでも最大のものは波濤嶽と呼ばれ、高さ10メートルほどの柱が多数並んで奇観を呈しています。「阿波の土柱」は戦前から国の天然記念物に指定されており、現在では徳島県内でも有数の観光スポットのひとつとして、バリアフリーの遊歩道などが整備されています。そのため土柱を真上から見下ろしたり、反対に下から見上げたりして、くわしく観察することができるのがポイントです。

四国山地を源流とする吉野川は徳島県のシンボルともいうべき大河ですが、その吉野川がつくり出した自然の風景の代表として「祖谷渓」と「阿波の土柱」の2つをご紹介しました。秘境として人知れず残されてきたこれらのスポットも、いまでは観光バスやマイカーで行けるほど気軽にアクセスできるようになりました。この機会に徳島が誇る雄大な自然に触れてみるのも楽しいものです。

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