越美北線でめぐる越前の小京都など福井の観光スポット3選

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本州の中部に位置する福井県は越前国と呼ばれていた時代、都のすぐ北に位置していることから歴史的に重要な地域となっていました。そのため知る人ぞ知る史跡が数多く点在し、全国から歴史ファンが訪れる一乗谷朝倉氏遺跡や越前の小京都と呼ばれる大野市の城下町など魅力的なスポットが数多くあります。それらをつなぐローカル線・越美北線も人気の鉄道です。

福井市と九頭竜湖を行き来する越美北線

越美北線は県庁所在地の福井市にある越前花堂駅と大野市の九頭竜湖駅を結ぶ鉄道です。1日に10往復のみで越前大野駅と九頭竜湖駅の間は5往復しかしていません。絵に描いたような風情あるローカル線ということで、全国から鉄道ファンが訪れます。平成16年7月福井豪雨で橋梁や路盤が流されるなどして長らく不通の区間もありましたが、沿線住民をはじめ多くの県民の切望もあって3年後に全線運行再開を果たしました。災害によってそのまま廃線に追い込まれるローカル線が多い中、幸せな復活を果たした越美北線に乗ること自体、旅の醍醐味となります。

戦国時代の暮らしを伝える一乗谷朝倉氏遺跡

福井市から越美北線に乗って20分足らずの一乗谷駅の南側に広がる一乗谷朝倉氏遺跡は、戦国時代に越前国を治めていた朝倉一族の本拠地でした。京の都を思わせるような雅な城下町が広がっていましたが織田軍に攻められあっという間に焼け野原となり、以後は忘れ去られたままになっていました。そのため当時の遺構がそっくり土の中で眠り続け、完全な形で発掘されて以降は武家屋敷なども再建され、戦国時代の暮らしぶりをうかがい知ることができる史跡公園として全国の歴史ファン憧れの地となりました。周囲の山里の風景も美しく、この地を愛した朝倉氏の思いにも寄り添える史跡です。

名水湧き出る小京都・越前大野

越前大野駅は越美北線で一乗谷駅から40分ほどのところにあり、小京都の名にふさわしく大野城を中心に美しい城下町が広がる地域です。居心地の良い城下町のあちこちに名水の湧き出る湧水地があり、味の良い名水めぐりを楽しむこともできます。現在の越前大野城は再建天守閣ですが、街のシンボルとして絵になる風景となっており、県内屈指の観光スポットになっています。大野城下には織田軍に攻められた一乗谷から逃れて落命した朝倉氏最後の当主の墓所もあります。戦国時代を偲ぶ旅の結びの地としてもふさわしい城下町です。

越美北線は鉄道ファンにとっても越前の戦国史を愛好する人にとっても大切な鉄道で、少ない本数を工夫しながら旅のプランを練る楽しみもあります。北陸新幹線の延伸によって今後首都圏との行き来が便利になることが期待されるだけに、観光スポットとしての知名度が上がることが予想されています。今後いっそう観光客が増えて越美北線が存続し続けてくれるよう、多くの人の熱い願いが集まっているエリアです。

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